一人ひとりの患者さんにゆっくり関わりたい、きつい夜勤から解放されたい、職場の人間関係に耐えられないなどの理由から病棟看護師から訪問看護師に転職された方は、少なくないと思います。
とはいえ、訪問看護の現場も理想とはいいがたい現状がありますよね。
訪問看護のきつい状況を整理して、どうすれば乗り越えられるか一緒に考えていきましょう。
訪問看護を辞めたい!きついし合わないなら転職をして乗り切る!
訪問看護師を辞めたい理由
①時間に追われる
病院と比べて利用者一人ひとりとゆっくり関われるというイメージのある訪問看護ですが、実際のところ、かなりタイトなスケジュールですね。
一人当たり60分程度の訪問時間の間に全身状態の観察だけでなく、多くの処置(褥瘡や膀胱洗浄、注入、摘便、点滴など)や清潔保持(入浴、清拭など)をこなさねばならず、同時に本人家族とのコミュニケーションを図りとのんびりしている暇は一切ありません。
また、1日あたりの訪問者は6~7人で移動や休憩を考慮すると、何かイレギュラーなことがあるとすぐに他の訪問に影響が出ますので、確実な手技で段取りよく進めないといけません。
天候にも左右されますし、慣れてくると介護度の重い利用者を担当するようになり負担は増していきます。
②体力的にきつい
たしかに夜勤はないし、急性期病棟のような慌ただしさ、長時間残業はないかもしれませんが、十分にきついのが訪問看護の実態です。
まず、移動の大変さがあります。雨が降ろうが、雪が降ろうが利用者の元に行かなければなりません。
真夏や真冬の移動も体力を奪われます。訪問先でもエアコンのない家はざらにありますから、汗だくになってケアを行う場合もあります。
オンコールも負担になります。
いつ鳴るかわからないので入浴中でも携帯を手放せず、夜間の睡眠が浅くなったり、休日も遠出ができないといったこともあります。
③精神的にきつい
訪問看護は利用者宅に一人で訪問します。
自分の裁量が大きいことが魅力の一つですが、同時にプレッシャーもやはり大きい。
利用者本人・家族も入院中のように遠慮はしませんから、無理難題を要求されることもあるし、ちょっとしたことがクレームにもなります。
セクハラをしてくる利用者もおり、それを一人で対処しなければならないのは不安ですし、恐怖を覚える場面もなかにはあります。
④職場環境がよくない
病院の人間関係に嫌気がさして辞める看護師は少なくありませんが、人間関係の難しさは場所が変わっても同じですよね。
また、訪問看護ステーションは、少人数で運営しているところが多いですから、一人ひとりの負担が増すことが多いです。
経営基盤がぜい弱なステーションでは、給与の不満や残業代の未払いなどの問題が出てくるかもしれません。
訪問看護師の強み
訪問看護の大変さを整理してきました。
世間でイメージされている訪問看護の姿より大変な環境であることがわかると思います。
とはいえ、それでも訪問看護がもつ魅力や強みはあると思います。
①夜勤なしで、給与水準が高い
訪問看護師はオンコールはあるものの、夜勤がありません。
土日は基本的に休むことができます。その割に給与水準も高く設定されているため、夜勤がないこと給料が大幅低下ということにはなりにくいでしょう。
②利用者にしっかり関わることができる
タイトなスケジュールで利用者宅を訪問しなければならないのはたしかですが、それでも病棟と比べれば濃密に関われるといえるでしょう。
理想と比べれば、利用者のニーズを満たせないという不満は少なくないかもしれませんが、住み慣れた生活を維持できるように関わっている訪問看護の意義は大きいと思います。
③在宅医療はこれからの成長分野
少子高齢化が急速に進む中で在宅医療・看護は今後ますます開拓されていくと思われます。
そう言われながら、なかなか進まない現状もありますが、キャリアアップの視点からも、地域医療・福祉の知識は不可欠になりますし、看護師は地域資源をつなぐ役割を期待されていますので、やりがいのある仕事であることは間違いありません。
どこに転職するのがよいか
こうした状況を踏まえ、今の職場への不満が大きいのであれば、経営基盤のしっかりした別の訪問看護ステーションに転職することをおすすめします。
オンコールが負担なのであれば、オンコールのない職場を選びましょう。
人手不足ではないか、教育研修制度は充実しているかをきちんと調査しましょう。
訪問看護を辞めたい!きついし合わないなら転職をして乗り切る方法まとめ
今、訪問看護師として働いているならば、具体的に、看護師の人数や利用者の傾向などを聞いていくことで、実態がつかめると思います。
転職エージェントに相談し、内情を確認するのもよいと思います。
あなたの訪問看護師としてのスキルが、よい職場環境で十分に発揮できるように願っております。