厳しい看護師国家試験を突破し、期待に胸を膨らませて入職したにもかかわらず、うまくいかず辞めてしまいたいと思う新人看護師は決して少なくありません。
辞めることについて、周りからの色々と言われることもあるでしょうし、自分自身も残念な気持ちになっている人もいるでしょう。
ですが、思った職場と違うということは誰にでもあることですし、早期での退職という経験は、そのあとに活かすこともできるはずです。
今回は、入職して4カ月でも退職したいと思う看護師が取るべき方法を紹介していきたいと思います。
看護師になり4カ月で退職したい!新人看護師がとるべき方法!
入職4カ月という時期
新人看護師それぞれに事情はあると思いますが、入職4カ月というのは、一般的にはどのような時期でしょう。
色々なことが分からないなりに、一通り、日勤のルーチン業務の流れは理解し、検温などは先輩看護師と同等に人数を回っている人もいるでしょうし、そうでない人もいるでしょう。
早い人では、夜勤業務が始める人もいるでしょう。
一方で、業務についていけず、しんどくなる人もいます。
患者のアセスメントについてきつく指導される人もいるでしょうし、ストレスから、不眠など心身に不調が出てくる人もいるでしょう。
新人教育について、今は、かつてのようなしごき方は推奨されず、個々人のペースに合わせて仕事を覚えていくように、教育担当者は言いますが、現場の認識とのギャップが大きいことがあります。
忙しい病棟では、やはり、新人に求めることが多く、指導もきつくなりがちです。
「自分たちはもっと厳しく指導されたのに、今は甘すぎる」などと、自身の価値観にこだわる先輩もいますよね。
特に急性期病院では、疾患や治療についての知識を増やし、アセスメントできるようになる必要があるうえに、業務も煩雑で、書類や説明なども膨大です。
その上、慢性的に人手不足という構造的な問題があり、新人看護師にとっては、非常につらい状況だと思います。
その中で、ついていけない、もう辞めたいと思う人が出てくるのは当然のことだと思います。
4カ月で辞めるのはいけないのか
4カ月という短期間で退職することについて、上司はもちろん、周りの人が「もうちょっと我慢して働いたら」と、必ず退職をとどまるように説得してくるでしょう。
世間的には、3年間は継続して働くべきだという「常識」がまだまだ強く、早期退職に対してよく思う人はあまり多くはないと思います。
たしかに、4カ月で辞めると、3年かけて身につけるのを基本としている看護技術を習得できずに辞めることになるので、次の職場探しで不利になる場合はあるでしょう。
また、次の職場の面接でも、「またすぐに辞めてしまうのでは」と勘ぐられてしまう可能性も否定できません。
ただ、4カ月で辞めることはデメリットばかりではありません。
まず、嫌な職場から早く離れるということは、非常に大きなメリットです。
うつ病のほとんどの原因は仕事にあるという精神科医もいるほど、心身の健康にとって、仕事選び、職場選びは重要です。
いても疲弊するだけでの職場に何年もいて病気になったり、ならなくても、不平不満ばかりを言いながら働く先輩のようになってしまうくらいなら、さっさと辞めて、楽しく働きがいのある職場に移った方が100倍幸福です。
早期退職の前後はつらいかもしれませんが、後年、この選択を誇らしく思う日が来るかもしれません。
ですから、もし、本当に今の職場が嫌で辞めたい気持ちがあるのであれば、早期であっても問題ありません。
辞める方法
辞める方法自体はシンプルです。
法的には2週間前、就業規則では多くの場合1カ月前までに退職の意向を伝えることで、退職することができます。そこに、何か特別な理由は必要ありません。
ただ、実際には、看護部長や師長が様々な理由をあげて、感情的に辞めにくい雰囲気を醸し出してくるでしょう。
「あなたのためを思っている」、「今やめたら、辞め癖がつく」、「とりあえず、少し休んでみたら」などです。
こうした言葉は、どうにかして辞めずにいてほしいという思いとともに、本当にあなたのためを思って言ってくれている場合があります。もちろん、中には罵倒してくるような上司もいるかもしれません。
ですが、こうした説得は、あくまでもあなたの情緒に訴えかけているだけであり、強制力はありません。
ですから、辞める決意をしたのであれば、粛々と手続きを進めていきましょう。
辞める理由についても、心身の不調や、実際に働いてみて自分には合わないと感じたなどといったものでよいと思います。
もし、退職の進め方が一人では自信が持てない場合は、弁護士に相談してみるのも一つです。
また、転職活動を始めているのであれば、転職サイトのエージェントに相談することで、退職の流れを説明し、助言をくれる場合もあります。
退職後の留意点
退職後、別の病院に入職して新人研修を改めて受けるという選択をする人が多いと思います。
このとき、どのような病院を選ぶかというのは非常に重要です。
初めての就職で、自分に合わなかったという経験は、決してマイナスではなく、人より多くの経験をしており、人生における学びが多いというプラスになります。
次の就職は、この経験を活かして、自分に合った病院を探していくことが大切です。
自分がどういうことに価値をおいていて、何に我慢がならないかということを選択の基準におけば、おのずと候補となる病院が見えてくるでしょう。
実際に病院見学等に行っても、最初の就職活動のときよりもずっと多くの情報を入手し、その病院が自分に合うかどうかを評価することができるはずです。
このとき、いたずらに自分自身の評価を下げないことです。
4カ月という短期間で退職したことは、自身にとって最良の選択であり、これからさらによりよい選択をしていくのだという意気で転職活動をしてください。
新人看護師の退職まとめ
新人看護師が4カ月で退職する方法について述べてきました。
私自身は、病院で新人教育にも携わっており、新人看護師が早期に退職してしまうことをできれば、とどめたいと思うし、辞めて行かれることをとても残念に思う立場にいます。
とはいえ、一方で、病院という環境はかならずしもすべての新人看護師に開かれているとも思えません。
実際に労働環境はよいとはいえませんし、合う合わないはあると思います。
それは、実際に働いてみないと分からない部分です。
早期に辞める看護師は少なくないと言いましたが、全体からみるとやはり少数派です。
働くのがしんどくなってしばらく休んだり、異動したりする場合はありますが、4カ月という短期間で見切りをつけられる人はそれほど多くはないのです。
ですから、もしあなたが本当に4カ月で辞めることを決意されるのであれば、実はかなり見込みがあると思うのです。
自分自身がどういう仕事をしたいかについての基準があり、今の職場ではそれが実現できないということを見切っているわけですから、そういう力を持っている人は、それほど多くはありません。
辛い時期もあるかもしれませんが、かならずあなたに合った仕事が見つかるはずです。