看護師には申し送りと言う業務がありますが、新人看護師には、大変なストレスになりますね。
相手はリーダー看護師だったり、その日フォローしてくれる先輩看護師だったりしますが、私自身も本当に緊張したものでした。
今回は、そんなおそろしい申し送りを、うまく伝えるコツをご紹介していきたいと思います。
看護師の申し送りが怖い!情報収集とうまく伝えるコツとは?
看護師の申し送りとはなにか
申し送りの形は施設によって様々ですし、最近は時間短縮の観点から申し送り自体を廃止するところも出てきています。
とはいえ、多くの施設では申し送りが残っていると思いますし、特に新人看護師には求められることが多いと思います。
申し送りとは、受持ち患者の状況を報告することです。
それだけなのですが、伝統的に申し送りには新人指導の観点が盛り込まれています。
つまり、患者の病態を理解し、漏れなく観察しているか、その観察に基づいて適切にアセスメントし、行動に移しているかを評価する場でもあるのです。
ですから、単に報告すればいいんでしょというノリで申し送りをすると先輩看護師の逆襲にあってしまうのです。
また、別の視点から説明しますと、リーダー看護師は担当看護師の申し送りを受けて、主治医に状況報告をしたり、次の勤務帯に申し送る役割がありますから、そこで正確な情報を伝えなければならないというプレッシャーがあるわけです。
ですから、特に知識や技術がまだ未熟な新人看護師からの報告にはぴりぴりしがちという事情もあります。
このような事情を考慮すると、申し送りで注意することは、必要かつ正確な情報を伝えるということが重要であるとわかりますね。
看護師に必要な情報収集の工夫
申し送りに習熟するには、経験しかありませんが、習熟を早める方法はあります。
それは、患者一人ひとりの情報をきちんと取り、整理していくことです。
そんなことしたら時間がかかって大変という気持ちもわかりますが、これをしっかりやることで、どんどん看護師としての力がついていきますし、情報収集の時間もある時を境に短くて済むようになりますので、ぜひ続けてみてください。
まず、患者Aさんという人がどんな状態なのかを紙に書いていきます。
どこの病気なのか、どんな治療をしているのか、どんな症状なのかなどを描いていきます。
通常は、主疾患に対する看護計画が立っているはずですから、それに基づいてAさんに行う観察項目やケアをかき込んでいきましょう。
ここまでは、多くの新人看護師もやり方はそれぞれでもやっているという人が少なくないのではないでしょうか。
そもそも情報が取れていない、疾患が理解できていない、処置の内容が理解できていないということであれば、それは知識として身につけるしかありません。
ところが、先輩看護師が求めているのは、ここから先なのです。
予測する力を身につける
あなたは患者さんの病状を理解し、観察項目、ケア項目も確認し、実施しました。
それを報告したにもかかわらず、リーダー看護師はなぜか不機嫌です。なにが足らないのかということです。
もちろん、リーダー看護師の体調が悪いのかもしれないし、リーダー看護師自身が、この後電話する予定の医師との関係が悪くて気分が悪いのかもしれません。
でも、それはそれとして、あなたは求められる情報を提供する必要があります。
それは、「予測」されることです。
看護師の新人とベテランを隔てる差はこの予測して動けるかどうかの違いにあります。
そして、この予測力を身につけるには、さらなる経験と知識が必要です。
ですが、先輩看護師の中にも経験だけで動いている人が少なくありません。
この場合はこう予測するという機械的な対応も大切ですが、新人のうちに身につけておきたいのは、知識に基づく予測です。
たとえば、患者さんが発熱したとします。発熱したから解熱剤を投与します、クーリングします、ということではなく、大切なのはなぜ発熱したのか、今後どのような予測をする必要があるかです。
もちろん当座の患者さんの苦痛を軽減するのは大事ですが、予測によっては、いますぐ解熱することが得策ではない場合だってあります。
いいかえれば、どのようなアセスメントに基づいた行動か説明できるようになってほしいということです。
それは、日々の情報収集、患者との関わりのなかで、常に考え、知識を更新していく習慣からしか身につけることはできません。
申し送り相手をアセスメントする
そんな無理なことを言われてもすぐにはできないし、いますぐなんとか救われる方法はないのかと思う人もいるでしょう。
その場合は、申し送りをする相手のアセスメントをしてみてはどうでしょう。
申し送りが怖いといっても、怖い先輩と、そうでない先輩がいると思います。
そして、先輩が気にするポイントも様々です。
ある先輩は、細かいバイタルの数字や、尿量、食事摂取量など量的データの詳細にこだわります。
いざというとき医師に伝えるのに役立つからかもしれません。
観察項目も細かく報告する必要があります。
また、ある先輩は、できるだけ簡素に報告することを求めます。
できるだけ自分の仕事の時間を確保したいと思って、申し送りの時間を煩わしく思っているのかもしれません。
必要なことだけ伝えてほしいと願っているのでしょう。
またある先輩は、とにかく新人を鍛えたいので、一見どうでもいい質問をして後輩を試そうとします。
あるいは、新人の自信を打ち砕きたいのかもしれません。
いつも体調が悪くて上の空の先輩もいますね。
このように、申し送りといっても、受け取る先輩は千差万別ですから、先輩に応じてある程度対応を変えてもいいでしょう。
あまりあからさまにやると、先輩によって報告の仕方を変えてると陰口を言う人も出てくるのである程度に控えておいた方が無難ではありますが。
自分のスタイルをつくっていく
このように、よくみていくと施設によっても色々、先輩によっても色々な申し送りですので、一律に怖がる必要はありません。
病棟によって、とても厳しい申し送りもあれば、とてもゆるい申し送りもあります。
厳しいから嫌だと思うこともあれば、厳しいからこそアセスメント力がついたと後から実感することもあるかもしれません。
ある先輩はこのように言うけど、ある先輩はそれは違うと言う。
看護師の世界では、こういうことが大変よく見られます。
ですから、できるだけ新人のうちから、自分なりの申し送りのスタイルを作っていくことが大切です。
別に病棟のやり方と全く違う独自のスタイルにする必要はありません。
しかし、よい申し送りとは、うわべだけのものではなく、しっかりとした患者情報とアセスメントの上に成り立ちますので、自分なりに知識を身につけていき、予測できるようにしていきましょう。
看護師が悩む申し送りまとめ
申し送りのテクニックよりも、考え方に偏った紹介になってしまいましたが、やはり看護師になったからには、しっかりと知識を身につけて、申し送り相手を圧倒するようなアセスメントをしてもらいたいと思い、書かせていただきました。
大変な時期とは思いますが、ぜひ乗り越えてパワフルな看護師になってください。
応援しています!