2018年5月2日発表の日本看護協会統計によると看護師は離職率10.9%と10人に1人が辞めている実態があります。
また、新人看護師の離職率は7.6%となっており、こちらもほぼ横ばいで推移しています。
つまり、辞めたいと思う看護師が一定数存在して、表面化した結果となっています。
ではなぜ辛く厳しい学生時代を経験して、看護師となったにも関わらず離職率の改善がままならないのでしょうか。
それらの要因をみていきたいと思います。
看護師を辞めたいと思ったら?新人でも転職を勧める理由
新人看護師の悩み
看護師として働きだして感じることがたくさんあると思います。
まず学生(実習)と臨床現場の違いについていけない新人看護師も多いのではないでしょうか。
新人看護師の悩みをみてみましょう。
仕事がきつく大変で辞めたい
新人看護師は覚えることがたくさんあります。
まず社会人としての振る舞い、病院・配属先のルールといったものから、看護技術・疾患・経過について臨床で対応できるように習得する必要があります。
仕事を覚えるために復習し、プリセプターや先輩看護師に確認しながら患者対応をするようになると思いますが、学生時代のように決まった患者を常に看護するわけではなく臨機応変な対応を求められますし、入退院対応や手術対応といった仕事量が比べ物にならないほど増えます。
このために、キャパオーバーを起こしやすく、時間内に仕事が終わらず残業になったり、体調を崩してしまったりして辞めたいと思ってしまいます。
自分の考える看護ができない
学生時代に思い描いていた看護とはかけ離れてしまうことも多く、業務に追われて患者に対して時間を十分に割くことができずに、看護師としてこれでいいのかといった葛藤にかられることもしばしばあります。
看護は一人では行えませんから、病院・配属先の方針により決定される部分もあります。
このことが看護師として提供したい看護と異なる要因になり、看護感の違いはストレスとなり辞めたいと思うことも致し方ない現状です。
このような施設で自分の考える看護が行えることは難しく、また行うことが出来たとしても継続して行われない可能性が高いために、自分が余計なことをしているといった間違った評価を受けることもあるため注意が必要です。
教育体制が十分でない
看護師の教育問題はどの病院でもあると思います。
慢性的に人出不足の中での新人看護師教育ですから、スタッフの余裕がなくゆっくりと時間をかけて関わることができなかったり、教育制度について希薄な環境のため、そもそもシステムが構築されていなくて十分な教育もないままに新人看護師に業務を行わせてしまうところもあるかもしれません。
看護師の中には昔自分がされたことを後輩である新人看護師にするといった、教育ではなくいじめまがいのことをする場合もありますから、教育する体制が整っている環境は非常に素晴らしいところであるといえます。
過小評価を受け、業務を制限される
新人看護師は少しずつ仕事にも慣れて業務拡大していくことと思います。
しかし、その過程を阻む環境もありえます。
新人看護師の評価を過小評価して、業務を行うにはまだ不足しているといったことを言う看護師はいます。
そのような言い分を聞き入れてします環境では、新人看護師はいつまで経っても業務を広げることができずに、精神的にも参ってしまいます。
正しい評価をしてくれる環境は求めていきたいですね。
過度の残業
新人看護師は業務が終わらずに残業になってしまうケースも多いと思います。
それだけでなく、自分の業務が終わっていても先輩看護師の手伝いや先に帰れない雰囲気などによって余計な残業をさせられてしまう環境もある場合があります。
意識の低い環境では自分の時間を無駄に浪費してしまうため、続けていくことは難しいと考えることは必然といえるでしょう。
辞めたいと思ったら考えること
新人看護師にとって何が正しくて、間違っているのかの判断が難しいと思います。
それもポイントを押さえていれば迷わずに進むことができます。
自分が行いたい看護は何か
看護師として何を大切にしているかと自問自答して自分の本心と向き合います。
「患者へ寄り添いながら看護をすること」
「専門性を持った知識・技術を習得したい」
「給与が良いところで働きたい」
「人間関係のよいところで働きたい」
など優先すべきところをはっきりさせることで、今の状況と他を比較することが出来、続けるのか辞めて転職するのかなどの判断ができるようになります。
情報収集をする
むやみに辞めることは後々に影響するので勧められません。
そうならないためにも、情報収集をすることを徹底します。
職場の情報も先輩や同期などから聞きます。
そして他院の情報はなかなか知ることは難しいので、転職サイトなどを通じて教えてもらいましょう。
そうすると自分の置かれている状況が少しずつ見えてくると思います。
今の悪いところだけを見ていては転職しても苦労が絶えません。
良いところも気づくことで、転職する場合にも交渉することが出来たりするので、視野を狭めないことが必要ということを肝に銘じておきましょう。
職場はひとつではない
中には苦労してでも今のところで「○年働かないと」と考える人もいるかもしれませんが、転職がめずらしくない看護師事情としては受け入れ先はたくさんあります。
そのような看護師を受け入れる体制を取っているところもあり、技術に不安がある看護師にも充実した転職先もあることでしょう。
ある程度技術を身につけてからという事は本人の意識の問題になりつつあり、転職した先ではまた覚えることがありますから、そこで学び成長するといった感覚も必要になってくることでしょう。
まとめ
社会に出ることで悩むことはありますが、看護師には看護師社会の独特の雰囲気などまた違った苦労があります。
医療・看護を通して患者・家族に接することは同じでも考え方が違う人がたくさんいます。
そんな中で自分の求める、行いたい看護が実践できる場所を求めて視野を広げていくことがあなたの未来を、可能性を広げてくれることでしょう。
新人看護師だからといった考え方ではなく、新人看護師だからこそ動いてみるということもいいのかもしれませんよ。