透析室や透析クリニックで勤めたことのない人にとって、透析看護は馴染みが薄く、イメージがつきにくいですよね。
透析看護師は楽なシフトだといううわさもありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
透析看護師は楽なシフトと言われている?透析の実際をお伝えします
透析看護師の普段の業務は?
透析は、腎臓の機能が障害され、ほぼその機能が働かなくなった人に対して行う治療です。
腎臓が障害されるということは、尿が作られなくなるということですから、体内の水分調整ができず、血液中の毒素も排出されないということです。
透析は腎臓のかわりにそうした機能を果たします。
腹膜透析と血液透析とがありますが、ここでは、透析室で普段看護師が行っている血液透析について説明します。
血液透析は、シャントと呼ばれる前腕に手術で作る人工血管に太い針を穿刺し、そこから透析器を通して血液を抜きだし、ろ過と余分な水分を除去して、体内に戻すものです。
一般に、1回の透析に3~4時間かかり、それを週に3回程度行います。
普段の透析業務では、朝の申し送り後に、透析器の準備をします。
回路を組み立て、透析液を回路に満たします。患者さんが入ってきたら、体重を確認し、その日抜く水分を医師が決めます。
バイタルサインを測定し、異常がなければ、順番に穿刺を行っていきます。
穿刺といっても、16G程度の太い針をシャントに2本差します。
血液を抜くための回路側につなぐ針と、ろ過した血液を戻すための針です。
人それぞれシャントは違いますから、穿刺には経験とスキルだけでなく、患者ごとの特徴を知っておく必要があります。
穿刺して抜けないようにきちんとテープ等で固定したら、回路につなぎ、透析を開始します。
1人の看護師が4~6人の患者を担当します。
途中、回路の異常がないか点検し、バイタル測定も行い、気分不良や血圧低下などがないか確認します。
血圧低下があれば、透析のスピードを緩めるなど微調整をします。
一人ひとり透析の設定が少しずつ異なり、その日の体調によっても変わります。
施設によると思いますが、透析中にお昼になるので、交代で休憩に入ります。
透析中は、患者とコミュニケーションを取り、生活指導を行うこともあります。
透析が終了したら、最後にバイタルサイン測定を行い、抜針し、体重を確認して終了です。
順番に回路を片づけ、次の患者の準備をします。
午後からの透析は、準夜勤務の看護師が担当しますので、日勤の看護師は、カンファレンスや委員会活動、担当患者の評価、学習などの時間となります。
急変が起これば別ですが、ほとんどの場合、定時に業務が終了します。
透析業務ってきついの?
先に詳しく透析業務を紹介しましたが、業務の流れが固定されていて、緊急入院や検査へのつきそいなどがないので、比較的時間通りに事が進んでいきます。
病棟業務のしんどさの理由のひとつは、ルーチン業務だけで進まず、常にイレギュラーな対応を求められることだと思います。
その点透析看護は、イレギュラー対応が少ない分、精神的にも肉体的にも楽に仕事ができます。
また、高齢化の進行により、病棟では、認知症患者への対応や身体介護に多くの時間を割かれますが、透析患者の中には、自立している人が多く、もちろん高齢の方が多いのですが、透析を受ける、という一点についての関わりなので、負担感は少ないと思います。
ただし、透析看護特有のきつさもあります。
先ほど紹介した、透析開始時の穿刺には技術が必要ですし、穿刺のうまい、下手は患者さんとの信頼構築に関わります。
また、透析器の扱いにも習熟する必要があります。
透析器の操作ミス、管理ミスは患者の命に直結しますので、緊張感をもって扱う必要があります。
もちろん慣れの部分もありますが、最初の内は常にドキドキしていたものです。
また、透析患者とは長い付き合いになりますので、信頼関係を構築し、維持していく必要があります。
透析室というのはワンフロアで患者からも看護師の言動が手に取るようにわかりますから、常に自身の振る舞いを見られているという意識で業務に臨む必要があります。
それはどんな現場でも当たり前だと思うのですが、身が引き締まる思いで働いています。
透析看護って夜勤はあるの?
実は、透析看護師は準夜勤務に近いシフトがあります。
ない施設もあるかと思いますが、仕事をしながら透析を受けている方も少なくないですし、夕方から夜間帯での透析ニーズは少なくありません。
そのため、病棟でいうところの準夜勤が週に1~2回ある施設は結構あると思います。
少ない人数で、透析業務に当たらないといけないので大変ですが、これも、病棟のバタバタ感と比べると、落ち着いたものだといえるでしょう。
透析看護の給料は下がるの?
透析看護になると給料がやはり下がるのでしょうか。
夜勤がない場合は、やはり下がる場合が多いでしょう。
ですが、準夜勤のある施設で働けば、さほど下がることはないと思われます。
また、透析専門の施設であれば、経験や資格に応じて手当が着く場合もありますので、下がった分を相殺することも可能でしょう。
透析看護士の勤務シフトまとめ
透析看護は楽なシフトと言われていますが、実際そういう部分はあります。
それは、イレギュラーな業務が少なく、時間通りに進んでいくからです。
一方で、穿刺や透析器の扱いなど、専門的な知識を身に着ける必要がありますし、患者との信頼関係構築、生活指導など患者との密なコミュニケーションが求められる点は大変だと言えます。
給与は、準夜勤のある職場を選んだり、経験や資格手当の充実している職場を選ぶことで、病棟勤務とあまり変わらないケースもあります。
透析看護に興味をお持ちの方にとって何かしらのご参考になったらうれしく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。