終身雇用制の限界が言われるようになってきていますが、看護師にとって退職や転職は比較的ありふれています。
日本看護協会の調べでは、毎年就業中の看護職の1割が退職しているとのこと。
女性の割合が圧倒的に多い職業であり、結婚や妊娠といったライフイベントを期に退職する人も多いことでしょう。
それ以外にも、慢性的な看護師不足によって、常に求人があり、様々な条件で仕事を探せること、
転職しても一定水準の給与を維持できること、転職仲介業者の充実などによって、多くの看護師が転職したいと考えている現状があります。
たしかに、長時間労働、人間関係、重い責任などによって、転職をしたいと思う看護師の気持ちはわかりますが、一方で、転職をしたら理想郷かというとそんなことはありません。
事前に聞いていた条件や契約と違うと不満に思う人は多いですし、やっぱり人間関係に悩む人も多いです。
転職したからこそわかることですが、さりとて転職を繰り返しても徐々に条件が悪くなるという可能性もあり、しばらく転職した施設でがんばってみたいものです。
そこで、せっかく転職したのに、もう辞めたいと考えている人に向けて、無理せず続けるための3つのコツをお伝えしたいと思います。
看護師転職したけどもう辞めたい!無理せず続ける3つのコツ!
人間関係についてはあきらめてみる
転職をした人の理由は、3種類あります。
一つ目は、ライフイベント等の事情で引っ越しなどで転職した人。
二つ目は、転職前の病院で人間関係や、長時間労働や、責任の重さなど何かしら辛くなって辞めた人、
三つ目は、さらなるキャリアアップを目指すために転職した人です。
どのような理由で転職したにせよ、転職によって、人間関係にまつわる悩みがなくなることはないと、あきらめる必要があります。
もちろん、以前の病院で深刻ないじめやパワハラがあったとしたら、転職によりそれから解放されたならば、素晴らしいことです。
ですが、新しい施設においても、程度の差はあれど人間関係のトラブルは発生します。
なぜなら、日本においては看護師は多かれ少なかれ同じような働き方をしており、同じような悩みを抱えているからです。
結局良好な人間関係かどうかというのは、運しだいであり、実際に働いてみないとわかりません。
もちろん、事前にある程度予想することはできます。
超急性期みたいな労働強度の高い職場ではなく、残業が少ない、その一方である程度の専門性や志を持って経営しているような施設ならば、適度な忙しさと、適度な緊張感によってきつすぎもせず、緩すぎもしない人間関係である可能性が高いです。
実際に、見学に行ってみて、挨拶をしてくれるスタッフの存在や雰囲気から察することも可能です。
とはいえ、どんなに良好な人間関係であっても、必ずつきあうのがしんどいスタッフはいます。最初はいなくても、途中から出現することもあります。これはあきらめるより仕方がありません。
転職先のよいところをみつける
満を持して転職したわけですから、なんとしても成功させたい気持ちはよくわかります。
ですが、理想郷のような転職先はないと心得る必要があります。
せっかく転職したのに、残業はあるし、忙しいし、給料は低いし、休み取りにくいし、人間関係悪いしと、期待した分がっかりして転職先の悪い所ばかりに目が行きがちです。
もし、大きな病院から中小病院に転職した人ならば、レベルの低さや、労働条件の悪さに辟易するかもしれません。
反対にゆったりとした中規模病院から大病院に行った人なら、その忙しさや人間関係の殺伐さに震えるかもしれません。
ここで注意が必要なのは、前の職場の当たり前を、転職先に持ち込まないことです。
看護師の働き方は、大枠は日本全国どこへ行っても同じなのですが、細かいところは、それぞれ独自の差異があるというのが日本的特徴です。
病院ごと、病棟ごとに微妙にやり方が違っていて、それを後生大事に守っています。
その風習を簡単に改めることは難しいのです。
そのため、そうした細かい違いを気にするのは一旦止めなければなりません。
もし、あなたが一定期間転職先で働き、周囲の信頼を勝ち取れたときに、改善させましょう。
まずは、転職先の病院のよいところを見つけていきましょう。
転職先がどんな劣悪な環境に見えたとしても、そこで働いている人にとって当たり前の環境であり、その中でそれなりに安定して働いているわけですから、いずれあなたもその環境に慣れることができます。
最初は、「染まりたくない」と思うでしょう。
ですが、ここは積極的に染まっていく必要があります。
そうすれば、転職先の良い面も見えてきます。前職を相対化でき、ここはこっちの病院の方がいいなとか思えるようになります。
自分がなんのために転職したかを思い出しましょう。
そして、転職の動機で最も大切だったことを確認し、それが叶っていれば、当面はよしとしなければなりません。
もし、なんとなく嫌で辞めた場合、これをよい教訓として今度はしばらく継続して働いてみましょう。
当面のところ自分は新人だと思っておく
ある程度の看護師経験があれば、転職先でも基本的な看護スキルについては、問題ないでしょう。
しかし、診療科が違えば求めらえる知識は違いますし、たとえ同じ診療科であっても、業務内容や使用する物品は異なっています。
そのため、自分より経験年数の低い看護師を先輩として教えてもらわなければなりません。
転職はステップアップとしての側面はたしかにありますが、転職したての時期のマインドは、新人看護師としてふるまう必要があります。
決して経験者面をせず、新人としてきびきびと行動し、メモをとり、挨拶をしっかりしましょう。
これは、新しい職場の同僚から嫌われないためのスキルでもあります。
ある程度業務に習熟し、職場になじんでくれば、かならず前職の経験が活かせるようになりますし、同僚たちの尊敬と信頼を勝ち取れるようになります。
看護師転職したけどもう辞めたい!無理せず続ける3つのコツまとめ
いかがでしたか。
転職先でつらい目にあい、辞めたいと思っている方には快く思われなかった方もいたかもしれません。
辞めたいと思っているあなたは、理想があり、活力のある看護師だと思います。
だからこそ、理想からほど遠い現実とのギャップを強く感じてしまいがちです。
しかし、世の中の多くの人は、実はもっと省エネで生きています。
もし、あなたが転職を繰り返したり、独立したりすることにこれ以上エネルギーを使いたくなく、辞めずに無理せず働き続けるようとされるならば、こうしたテクニックを身に着けると役に立つと思います。
そして、一歩一歩、あなたの職場環境が理想の状態に近づくように、働きかけられることを願っています。